朝というのは本当に必要なんだろうかと思う。太陽があるからってなんだというの。光すら多くを浴びていない私の身体は白というより青白だ。
空気を吸い込むと最近はよくむせる。そのまま咳き込んで苦しくなるのももう慣れた。
なんで。
なんで。
なんで私ばっかり。
咳で疲れた身体じゃ、怒りをもってもシーツすら握りしめることは敵わない。悔しい。
もっと楽しいことがあったっていいはずなのに。同じ年のクラスメイトはあんなに楽しそうなのに。
私の何がいけないからこうなったんだろう。
もっと世界が私に優しかったら良かった。
私の思い通りになるような世界だったらよかったのに。
例えば。
貧乏だって困ってる友達はその世界ならお金持ちで、ああどうせなら街の皆の状況が正反対だったら面白いかもしれない。
でも親友とあの人は同じがいいな、私の世界の唯一な人達。
皆と仲のいい私はいつだってプラス思考で皆を明るくする可愛い存在。元気で、学校だけじゃなくて街の皆にもよく話しかけられる人気者。
「なんて、」
馬鹿みたい。そんなことあり得ない。御伽噺よりもくだらない幻想だ。
吐き捨てて病室の窓の側にある積み木を見つめる。なんであるのか分からないこの積み木を興味本位で学校の形にしたままだったのを思い出した。
「……行きたいなぁ、学校」
前に行ったのはいつだったかな。
確か二年生になってすぐだったはず。近くの席の男の子が少し静か過ぎて無表情で怖かったけど、プリントを配られた時に苗字を呼んで渡してくれた時に、なんだかとても綺麗な顔をしていたのでまじまじと見てしまったのを覚えてる。
すぐに入院して退院して。次の時には周りに面白い個性的な人達が集まっていたはず。ああ、あの中に入ったら楽しいだろうなぁ、と思ったっけ。
どうせ、無理なことだけど。
こんなに頭が重くて気分が悪くて力が入らなくてフラフラしてる私なんてもう長くないんだし。なら、私の意義はなんだというの。誰からも必要とされずにただ、こんな場所で死んでいくのかな。
死にたくないよ。でも、私は今生きてるって言えるのだろうか。きっと言えない。毎日ベッドの上で咳をして薬を飲んで、ただそれだけの毎日なんて。
いつも沢山寝ているから眠くなんてないはずだけど、私は目を瞑る。前に書いた絵のように、そんな世界を夢見るように。
ああ、私の立場が、世界が、ひっくり返ったら、面白いだろうに。
現実はこんなに寂しいから、夢だけでも見させて欲しかった。
幸せな、夢を見よう。私が幸せになる夢を。
そうして小さい呟いたお休みに、誰かの声がした。