雪が降っている、幻想的な外。メルディの家は暖かく、キッチンではいい匂いがしている。
「……お邪魔のようですね」
 2階への階段を降りて、ベランダに向けて呟いたチャットの声は小さくも反響した。
「いいじゃねーか、どーせ眼中にねぇだろうし。しっかしキールも変わったなぁ……」
 しみじみとした声色でリッドが苦笑気味に答える。
 インフェリアからチャットのバンエルティア号でセレスティアに来たのは数日前だ。体力のあるリッドがアイメン復興の即戦力となっているため疲れているのだろう、早々に着替えた後、姿勢を崩して椅子に座っていた。
 チャットがそうですね、と頷いてリッドの近くの椅子へと腰掛けるのと、ファラがキッチンから出てくるのが同時だった。
「じゃーん! 特製スタミナ料理完成だよ。キール達の分は取っておいて私達は先に食べちゃおっか!」
 ファラが手を叩いて2人に話しかけるなり、途端に笑顔になったリッドは誰に言われるでもなく、立ち上がって食事の支度を手伝い始める。
「おー美味そう、やっと飯にありつけるぜ」
「ふふっ、リッド今日大変だったもんね。お疲れさま」
「サンキュ」
 料理をテーブルへと並べながらリッドとファラが話している姿を見ながら、チャットはキール達に向けた声を心の中でもう一度呟いた。
 ファラの料理は旅の間と変わらず美味しくて楽しみではあるのだが、アイメンに来て数日が過ぎて毎日このような繰り返し。いい加減に自覚してほしいと思う、もちろん四人ともだ。
「何もキールさん達だけじゃないんですけどね……」
 ひきつりながら声に出した言葉に、リッドとファラはチャットのほうを見たあと互いの顔を見合せて首を傾げた。

やっぱりお互い様。